生命保険相談センター

コラム回心転意

 

新型コロナウィルス感染症(以下、新型コロナ)に罹患した方が自宅やホテル等で療養するケースがあります。

保険会社では同ケースを入院扱いとみなして入院給付金を支払ってきました(いわゆる「みなし入院」)が、2022年9月26日以降、この「みなし入院」による支払い対象を「重症化リスクの高い患者」に限定することが発表されました。

 

今回は9月26日以降の変更点の概要を解説していきます。

 

変更の経緯

 

2022年9月1日付で生命保険協会より各保険会社へ、みなし入院の支払い対象見直しの周知が行われました。(注1

これは政府において、新型コロナの発生届の範囲を重症化リスクの高い方々に限定する方向で検討されていることを踏まえた金融庁の要請に基づいたものとされています。(注2

これを受け各保険会社は2022年9月26日以降、みなし入院の支払い対象を「重症化リスクの高い患者」に限定すると決定しました。(詳細はご加入中の保険会社のホームページ等でご確認下さい。)

 

9月26日以降の支払い対象

 

2022年9月26日以降、みなし入院で入院給付金の支払い対象となる「重症化リスクの高い患者」とは以下の方々です。

 

・65歳以上の方

・入院を要する方

・重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与または新型コロナ罹患により酸素投与が必要な方

・妊婦

 

2022年9月26日以降に新型コロナと診断された方で自宅・宿泊療養をされた場合、「重症化リスクの高い患者」に該当しないと入院給付金の支払い対象とはなりませんのでご注意下さい。

 

注意すべきこと

 

今回の見直しにより注意が必要だと思われる点をまとめてみました。

 

Q.2022年9月25日以前に新型コロナと診断、自宅療養をしていた。9月26日以降に請求できる?

 

A.可能です。

2022年9月25日以前に新型コロナと診断されていれば、「重症化リスクの高い患者」であるかどうかにかかわらず入院給付金の支払い対象となります。(注3

その場合、請求手続きが2022年9月26日以降になってしまっても問題ありません。

 

Q.いわゆるコロナ保険(新型コロナと診断されると一時金等が給付されるタイプの保険)に加入しているが、この支払い対象も見直されるのか?

 

A.基本的には、これまで通り受け取ることが可能です。

前提として、各保険会社の正式なアナウンスの確認を行って下さい。

この種の保険の多くは約款上、対象となる病気の法律上等の分類で支払い対象かどうかを決定しているため、今回の変更とは直接関係がありません。

但し、新型コロナの法律上の分類が変更されると約款上の支払要件から外れ、支払対象外になる可能性はあります。

2022年9月12日現在、新型コロナが属する感染症法上の分類は「2類相当」ですが、例えば、いま議論されているように「5類(インフルエンザ等と同様)」に引き下げられた場合、2類や3類までしか保障されない保険だと支払い対象から外れてしまいます。

各商品の詳細は約款上の規定によりますので、心配な方は該当する保険会社に直接確認してみることをお勧めします。

 

 

注1 生命保険協会『新型コロナウイルス感染症による宿泊施設・自宅等療養者に係る療養証明書の取扱い等について』

https://www.seiho.or.jp/info/news/2022/20220901.html

注2 金融庁『いわゆる「みなし入院」による入院給付金対象等について(要請)』

https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20220902/02.pdf

注3 病院や保健所等を通して届出がなされているケースに限ります

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