生命保険相談センター

コラム回心転意

意外と知らない?生命保険協会の契約内容登録制度とは

2024年4月から生命保険協会の契約内容登録制度によって登録される情報の内容が変わったのはご存じでしょうか?

 

そもそもこの制度自体を知らなかった、という方も多いかもしれませんね。

 

今回は契約内容登録制度の概要と4月からの変更点、そして変更によって皆さまに与える影響について解説します。ぜひ最後までお付き合い下さい。

 

目次

 

制度の概要と目的

 

契約内容登録制度(契約内容照会制度)とは、結ばれた保険契約について一部の情報を生命保険協会へ登録し、保険契約の引受け、保険金、給付金等の支払いの判断の参考として、その情報を保険会社間で共同利用する制度のことを言います。

 

リンク:(一社)生命保険協会 「契約内容登録制度・契約内容照会制度」について

 

情報の登録、利用を行うのは生命保険協会加盟の各生命保険会社と全国共済農業協同組合連合会(JA共済)となっています。各種都道府県民共済は制度の対象外のようです。(令和6年4月現在)

 

制度の主な目的は、生命保険制度の悪用(モラルリスクといいます。)を防ぐことにあります。

例えば、被保険者が加入している保険の死亡保険金額や給付金額を登録することで保険の過剰加入を防ぎ、保険金詐欺など不当な利益を得るための行為を抑制する、といったことに利用されています。

 

情報が登録されるのは保険契約の申し込みがあった時で、契約の引受け出来なかった場合は登録された情報は消去されます。

登録された情報は同じ被保険者について保険契約の申込みや保険金・給付金等の請求があった際に生命保険協会から保険会社へ提供され、契約の引受けや保険金等の支払いの判断に利用されます。

ちなみに、情報が利用されるのは契約日等(※)から5年間です。

 

※契約日、復活日、増額日または特約の中途付加日。

被保険者が15歳未満の場合は被保険者が15歳に到達するまでの期間と5年

間のいずれか長い期間。

 

 

登録情報と変更点

 

さて、ここからは契約内容登録制度で登録される情報の内容について確認していきましょう。

4月からの変更点も合わせて以下の表にまとめました。

 

tourokunaiyou

 

登録情報の内容は基本的に「誰が」「いつ」「どの保険会社の」「何の保険種類を」「いくら加入しているか」、というものですが、今回の変更から保険種類についてより詳細に登録されることになりました。

 

具体的には表の青字の部分、

 

入院給付金の一時金額

がん給付金の一時金額

就業不能保障給付金の月額

先進医療保障給付の件数

 

が追加されています。

 

 

制度の変更による影響は?

 

契約内容登録制度の変更自体は単に登録される情報が増えたにすぎず、皆さまが加入している保険の中身に直接影響を及ぼすものではありません。

 

ただ、今後保険の新規加入や見直しをされる際には影響があるかもしれません。

 

今回の変更により登録情報に追加された保険種類は、今までは他社の加入状況に関係なく追加加入が可能でした。しかし今後は加入額や件数等に制限が掛かり、希望する保険にスムーズに加入できなくなる恐れがあります。

実際、いくつかの保険会社において変更に合わせて、例えば入院一時金の金額や先進医療特約の件数を『他社契約と合計して』○円(または○件)までとするよう、ルールの変更が行われたようです。

 

厄介なのは、これらのルールは各保険会社間で統一されたものではなく(今のところは)会社ごとに独自に定められている、ということでしょう。

 

「A社では問題なく加入できるのに、B社では加入制限で入れないと言われた。」

 

ということが起こり得る点にも注意が必要です。

 

もちろん、加入制限に抵触しただけで加入が全くできないというわけではありません。

しかし新規契約から抵触する保障を外さなければいけなくなったり、既存の契約を(一部)解約しなければ加入できなかったりなど、想定しない手続きが生ずる可能性について、特に新規加入や見直しを検討している方は頭に入れておいた方が良いでしょう。

 

 

■バックナンバーを見る