コラム回心転意
「がん」や心筋梗塞などの「心臓の病気」、くも膜下出血などの「脳血管の病気」といった、いわゆる「三大疾病」を保障する保険をご存じでしょうか。
厚生労働省の人口動態調査によれば、国内の死亡者数のうち半数がこの三大疾病により亡くなっているそうです。
「特定疾病保障保険」は怖い病気の代名詞といえる三大疾病を保障する保険として、以前から販売されてきました。
皆さまの中にも単体または特約として加入されている方もいるのでは。
昨今、様々な保険商品が時代に合わせて変化しています。この特定疾病保障保険も例外ではありません。
今回は特定疾病保障保険の最新の保障内容がどのように進化しているのかをご紹介したいと思います。
どういう保険か?
「特定疾病保障保険」は、一般的に死亡・高度障害の保障と三大疾病の保障が一体化した保険となっており、いずれかの支払要件で保険金を受け取るとその時点で保障が終了する仕組みになっています。
対象となるのが三大疾病であることから「三大疾病保障保険」、生きているときにも保険金を受け取れる点で「生前給付保険」などとも呼ばれていますね。
三大疾病を患ってしまっても亡くなる前にまとまったお金を受け取ることができるというのは大きなメリットに感じると思います。
ただし以下のような落とし穴も・・・
・各疾患のうち対象になる病名が限定されている
(がんは上皮内がんや皮膚がんは対象外、心疾患は急性心筋梗塞、脳血管疾患は脳卒中のみ対象)
・心疾患、脳血管疾患の「所定の状態」に当てはまる条件が厳しい&複雑
(診療開始から60日以上の労働制限(急性心筋梗塞)や後遺症(脳卒中)が継続したと医師に診断されること、等)
特定疾病保障保険という名称から、三大疾病にかかればお金を受け取れると認識しがちですが、以上のような複雑な支払条件があることを知らずに契約した人も、残念ながら多かったようです。
かつては、いざというときに役に立たない保険の代表例にされてしまったこともありました。
保障内容の進化
このように支払条件にデメリットがあった特定疾病保障保険ですが、現在は大きく2つの方向で改善されています。
1.対象疾患の拡大
これまで保障対象の疾患は、心疾患なら急性心筋梗塞、脳血管疾患なら脳卒中のみに限定されていましたが、心疾患全体、脳血管疾患全体に拡大して保障する商品が登場しました。
このタイプの商品には、保障対象が増えて保険金を受け取りやすくなる、という明確なメリットのほか、加入者にとって保障内容がわかりやすいという利点もあります。
専門家でもない限り「急性心筋梗塞に狭心症は含まれない」等、細かい病名の違いを判断するのは困難。
やはり加入者にとってわかりやすい保険であるというのは重要なことですね。
2.支払条件の緩和
もう一つの問題として「診療開始から60日以上の労働制限(急性心筋梗塞)や後遺症(脳卒中)が継続」という、いわゆる「所定の状態」と認定されるハードルが高いことがありました。
この点を、「〇日以上の入院」や「手術」を条件に加える(変更する)ことで支払のハードルを下げた商品が登場しています。
旧来の支払条件では、労働制限や後遺症が60日以上継続したと判断するのは医師。
しかしながら患者さまの状態が、10人中10人の医師に「支払条件に該当する」と診断される状態だとは限りませんよね。
条件に当てはまるか微妙な場合に保険金請求をする場合も当然あり、中には医師によって判断が分かれるケースも・・・
そこで入院や手術の実施という客観的な事実を支払条件に組み込むことで、加入者にとっても診断する医師にとっても請求の負担が減るように改善されているのです。
保障内容と目的を見極めた加入を
ここまでご紹介してきた保障内容の改善のほか、保険の内容そのものを大きく変えた特定疾病保障保険も販売されています。
同じく生前に受け取れるという共通点から介護や身体障がいの保障を加えた商品、日本円よりも高い利率で運用できる外貨建てのものや、逆に死亡保障を無くして掛け捨て型にすることで保険料を安くした商品など、各保険会社の創意工夫により多くの商品が登場しました。
選べるものがたくさんあると目移りしてしまいますね。
しかし重要なのは、皆さまが保険に加入する目的と保障内容をしっかりと見極め自分に合った商品を選択すること。
その基準の一つとして、今回ご紹介したことがお役に立てれば幸いです。
「今の保障で大丈夫かな?」と思った方は是非一度、自分の保険の内容を確認してみましょう。
「保障内容がよくわからない!」「どんな保険を選べばいいの?」といったことがあれば、お気軽にご相談いただければと思います。