生命保険相談センター

コラム回心転意

筆者:理事長・コンサルタント 山田勝徳

2015年06月:医療保険を賢く選ぶ -保障日数はどこまで必要か?-

NPO法人 生命保険相談センター
理事長
コンサルタント

山田 勝徳 (やまだ かつのり) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
日本モーゲージプランナーズ協会モーゲージプランナー(住宅ローン)

突然ですが、もし医療保険の保険証券がお手元にあるのなら、入院保障の部分の「○○日型」という記載を確認してみて下さい。 これは、一回の入院について最大何日までお金がもらえるのか、を示しています。

医療保険を選ぶときのポイントの一つとして、この「一入院の保障日数」をどう選ぶのか、ということがあります。 加入する際には最適な保障日数のプランを選びたいものですが、実際には提案されたプランにそのまま加入されている方が多いようです。

今回のコラムでは、保障日数を選ぶための考え方をご紹介します。保険選びの際の参考になれば幸いです。

保障日数の違いと保険料

まず、「一入院の保障日数」についてもう少し細かくご説明しましょう。 医療保険を加入するときに「60日型」「120日型」「360日型」などからプランを選ぶようになっています。 (i)入院をされた際、この保障日数を超えた部分についてはお金をもらうことが出来ません。

当然ながら保障日数が長いほど保険料が上がります。 例えば「60日型」と「120日型」で保険料を比較してみると、「120日型」の方が6~20%ほど高くなります。 この割合は保険会社や商品、年齢、性別などにより異なりますが、一般的な保障内容であれば金額として月々数百円~千円程度高くなる計算です。(ii)

一入院の保障日数は多くの商品の場合、加入後に変更をすることが出来ません。 「どの日数のプランに加入するか」は、入院したときに何日分の保障が必要かというリスクを、加入時に予想して決めることになります。

入院日数の推移

とはいえ、健康な方ほど「将来にするかどうかも分からない入院がどの程度長期化するか」を予想するのは難しく、ご自身にとって最適な保険を選ぶのは簡単ではありません。 提案されたプランになんとなくそのまま加入してしまうことが多いのは、こうした理由があります。

しかし、ご自身の将来のことは予測できなくても、特定の傷病で実際に入院された方がどのくらいおり、 平均で何日間入院されていたのか、というデータがあれば、「自分の医療保険で保障して欲しい入院日数」を考えることが可能になります。 よりご自身の希望に沿った最適な医療保険を選ぶための助けとなるでしょう。

入院日数の推移

医療保険の商品プランの中で「60日型」より短い入院保障(「30日型」や「40日型」など)もありますが、表1のデータを見る限りそれでは少し不安を覚えます。 一方で多くの傷病による入院が60日以内に収まっていることを考えると、「120日型」やそれ以上の保障日数のプランに加入するのも無駄に見えるかもしれません。

長期化しやすい入院とは

ところが、平均日数60日以上の傷病の入院日数は、120日を軽く超えるほど長期化するものもあります。

さらに注目すべきは、60日以上の傷病で入院された患者数が非常に多いということです。 同じく厚生労働省「患者調査」には、傷病別の入院患者数の推計が掲載されていますので確認してみましょう。

入院患者数

平均入院日数が長い傷病の内、例えば三大疾病(iv)の内の一つである脳血管疾患の入院患者数は約17万人です。 これは入院患者総数134万人の内の12.8%を占めます。 さらに表に抜粋した中だけでも平均入院日数上位3つの傷病をあわせると42.5%に達し、入院患者3人に1人以上は長期入院になりやすい傷病で入院をされているという現実が見えてきます。 加えて高齢になるほど全体の入院日数が増えていき、表1の平均入院日数を上回ることもあり得る、ということも覚えておきましょう。

これらの現実を考慮すれば、必ずしも保障日数の長いプランは必要ないとは言えなくなります。

保障のどこを重視するかを明確に

「一入院の保障日数」は医療保険の保障の中の一つに過ぎず、人によってはあまり重視されないところかもしれません。

もし「最低限の日数が保障されれば良い」とお考えであれば、保障日数の少ない保険を選ぶべきです。 たとえ月々の保険料の差額が数百円しか違わなくても、最終的に節約できる金額は大きなものとなるでしょう。

逆に、「長期入院が心配だから」と感じたなら、保険料を上乗せしてでも保障日数の多い保険を選びましょう。 保険とはこうした心配を補うためのものですから、そこに保険料を掛ける価値が生まれます。 最近では、特定の傷病の場合のみ保障日数やもらえる金額を増やすなど、保障のバリエーションや組み合わせが豊富になったことで、よりフィットした保険を選びやすくなりました。
保険についてどのようにお考えになるかは、その人次第です。 ご自身のお考えにあった保険を自分で納得して選ぶことができれば、その保険は必ずあなたの味方になってくれるはずです。



i 日型プランを一つしか販売していない保険会社もあります。
ii 基本保障のみ、終身払で30歳~60歳までの保険料で比較。保険会社は独自で抽出。
iii 平成23年(2011)患者調査の概況(厚生労働省リンク)
iv 一般にがん、心疾患、脳血管疾患を指します。

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山田 勝徳 (やまだ かつのり) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
日本モーゲージプランナーズ協会モーゲージプランナー(住宅ローン)
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