生命保険相談センター

コラム回心転意

筆者:筆者:コンサルタント 廣川晴一

2013年11月:学資保険を活用するI ~教育費に備える保険~

NPO法人 生命保険相談センター
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廣川 晴一 (ひろかわ せいいち) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー

11月に入り、肌寒い日が続くようになりました。 季節の変わり目で体調を崩しがちな時期でもありますが、そうも言ってはいられないのが、これから大詰めを迎える受験生の皆さんでしょう。
小金井にある当センター本部の近くや最寄りの国分寺駅の近くにも、早稲田実業や学芸大学、中央大学付属高校などの私立校や学習塾が多く賑わいを見せています。
今回のコラムは、受験シーズンの到来に合わせ教育費に関する保険“学資保険”をテーマに全3回に渡ってお話をさせて頂きたいと思います。

教育費について

さて、我々コンサルタントにとっても、お子様がいるご家族のライフプランについて、「受験」に対する費用や「学費」をまとめて「教育費」という言葉に置き換えてお話をする機会があります。
お子様の将来を考え、選べる「道」はたくさん用意してあげたいものですが、そのためには非常に大きなお金を教育資金として準備しておかなければなりません。(表1)

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これらの教育費を保険で考える場合、一家の収入の中心となる方に万一のことがあった場合でも、 残されたお子様が問題なく学校に通えるように、死亡保険の保障額に含めて考えるのが一般的です。

教育費に備える保険とは?

しかしながら、死亡保険とはあくまで亡くなった時に初めて使える保険です。 教育費は親の生死に関わらず負担する事になりますので、教育費に備えるために死亡保険に加入したというだけでは、真に「備えた」とは言えません。 当然、日頃から長期に渡って資金の準備=貯蓄をすることが必要です。 貯蓄の方法としては一般的に定期預金の積立などがありますが、数多くの保険商品の中でも貯蓄目的で使える保険があります。 代表的な商品が「学資保険」です。(図1)

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学資保険は支払った保険料が積み立てられ、保険の満期を迎えた時に学資金を受け取ることが出来る商品です。 よくあるケースとして、親を契約者、子を被保険者とし、最も資金が必要な大学の教育費を確保する目的で満期を高校卒業時の年齢に設定し加入されるケースです。 商品によっては、中学校入学時や高校入学時のタイミングで祝金が出るものもあります。

また、多くの学資保険では契約者=親が亡くなった場合、以降の保険料の支払いが免除されます。 すなわち、以降の保険料を納めずに満期時に学資金(祝金がある場合も同様)を受け取る事ができるため、死亡時の保障も付与されていると考える事ができるでしょう。 ほぼ貯蓄目的が主体であっても、学資「保険」という名称がついているのは、保険としての一面をしっかり持っているということからに他なりません。

一方、学資保険以外で教育費に備えるために活用できる保険もあります。例えば保険料の払込期間を短く設定した終身保険などです。(図2)

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図2のような保険では、保険料の支払を終えた以降に解約をすると支払った保険料以上の金額が払い戻される仕組みになっています。 この仕組みを利用し、学資金を引き出す(=解約する)タイミング以前に保険料の支払を終えるように設計する事で、学資保険と同様に教育費に対する貯蓄のための保険として活用する事ができるのです。しかも学資保険のように満期が決まっていないため、 保険料を支払い終えた後であれば解約するタイミングは自由に決めることができることや、 保険料を支払っている期間中に万一があっても死亡保険金を受け取る事ができるというメリットがあります。

自分に合った貯蓄方法を選択する

一方で、学資保険、終身保険などで貯蓄をしていく際に注意しなければならないこともあります。 それは、お金を貯めている間(=保険料を支払っている間)自由に使うことが出来ない、ということです。

貯蓄型保険の最大の魅力は、普通の預貯金よりも高い利率でお金を貯めることができる(全ての貯蓄保険ではない)、ということですが、 万一貯めている途中に資金が必要になった場合、中途解約をすると元本割れ(=払い戻されるお金が支払ったお金より少なくなってしまう事) をしてしまうケースが多くなります。すなわち、利率は高いが自由に引き出せなくなるリスクが存在する、ということです。

預貯金にせよ保険にせよ、教育資金を貯めていくにはある程度の時間を要しますので、もし途中でお金が必要になるケースがあるかも知れない時は、 利率が低くても預貯金による貯蓄を選択した方が良い場合も考えられるのです。逆に保険による貯蓄を選択した場合、途中で引き出すとリスクがある ということをしっかりと認識して選ばなければなりません。

未だ日本は超低金利時代が続いています。 改善の兆しが見えてきたとはいえ、やはり貯蓄をするには少しでも高い利率で効率よく貯めたい、と思われる方も多いと感じています。 先に述べたようなデメリットさえ理解して頂ければ、保険による教育費の準備は非常に有効です。 ご自分の考え方、家計の状況、お子様の年齢などをしっかりと見据えた上でより良い方法を選択したいものです。

(次回は学資保険の選び方について取り上げます)

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廣川 晴一 (ひろかわ せいいち) 日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー
■筆者からひとこと

当センターコンサルタントとして2000組以上の法人・個人のライフプランや資産運用などに携わってまいりました。常に相談者のお話を親身に聞かせていただき、的確な情報をわかりやすく伝えられるよう心掛けております。

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