コラム回心転意
筆者:コラム担当FP 山田・廣川
2013年09月:本当に怖い、三大疾病 ~心疾患編~
NPO法人 生命保険相談センター
理事長
コンサルタント
日本モーゲージプランナーズ協会モーゲージプランナー(住宅ローン)
先月のコラムでは、三大疾病と呼ばれる病気の中の脳血管疾患について取り上げました。今月は引き続き「心疾患」のことについて一緒に考えて行きたいと思います 。
実は名称が多い「心疾患」
三大疾病の内、心疾患の死亡数は悪性新生物に次いで第2位であり、脳血管疾患同様血管・血液に強く関係する疾患です。実は一言で「心疾患」といっても様々な種類があり、病気や症状の呼び方にもいくつか種類があります。 似たような名前が多く混乱を招きやすいので、ここで一度整理しておきましょう。
1. 心不全
何らかの原因で心臓のポンプとしての機能が弱り、体中に酸素・血液を十分送れない症状のことを「心不全」と呼びます。病気のような呼び名ですが「心不全」という病名はなく、動脈硬化(i)や心筋症(ii)などにより起こる症状の事を指します。
2. 虚血性心疾患
心臓を動かすための筋肉(心筋)に酸素や栄養送るための血管(冠動脈)が塞がったり狭くなったりして心筋の機能が低下する疾患のことを「虚血性 心疾患」と呼びます。
大きく分けて、血管の流れが悪くなり心臓が酸欠状態となる「狭心症」と、血栓によって血管が完全に詰まり心臓への酸素供給が 行われなくなる「心筋梗塞」があります。
3. 不整脈
運動や睡眠などの状況下に無くても脈が速くなったり遅くなったり不規則に変化する病気の事を「不整脈」と呼びます。健康診断の心電図などで発見 されることが多く、WPW症候群(iii)などの先天性のものと、高血圧や甲状腺機能亢進症、加齢を原因とする心房細動などがあります。
死亡数が最も多い心疾患
さて、死亡数が第2位の心疾患の中で、最も死因として多いのが虚血性心疾患です。前述のように大きく狭心症と心筋梗塞に分けられますが、中にはリウマチを原因として起こる場合もあります。いずれも心臓の機能に直接関わる重大な疾患となります。
狭心症の場合は冠動脈が狭くなっているだけで血液は通っていますから、症状が起きてからすぐに死に至ることは少なく、薬を投与することなどで症状を収める事が出来ます。しかし、血管が完全に詰まり心臓への酸素供給が完全に途絶される心筋梗塞の場合は、症状が起きてから緊急に治療を行わなければ命を奪われる危険が非常に高くなります。 もちろん狭心症の場合も、心筋梗塞に発展する可能性が高いため速やかな治療が推奨されます。
後遺症より死に至る危険を
前回のコラムで紹介した脳血管疾患は、死亡率の低下とともに後遺症のリスクを考えるべき疾患でしたが、心疾患については、死亡するリスクに眼を向けて考えなければならない疾患と言えるでしょう。
確かに、どちらも医療技術の発達により死亡数自体は低下しています。しかし、心臓という命の根幹の臓器における病気であるがゆえに、脳血管疾患以上に、罹患した事による死亡リスク、特に、急に事が起こった場合のリスクを考える必要があります。
前述の通り心疾患には様々な原因があり、医療技術の発達によって健康診断や人間ドックなどで事前につきとめる事も出来るようになっています。しかし、他の病気もそうであるように、病気は突然やって来ます。 通常ならどのように病気を治していくか、どのように病気と向き合っていくかを考えることができますが、心疾患は時として考える時間すら与えてくれない事がある、ということを覚えておかなくてはなりません。
(次回は悪性新生物(がん)についてお話します)
i 動脈内にコレステロールなどが溜まり血液の流れが悪くなること
ii 心筋に肥大や変性などが発生し機能障害が発生する疾患
iii ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群。心房・心室間の余分な電気伝路があるため脈が速くなることが多くなる病気
医療保険の商品プランの中で「60日型」より短い入院保障(「30日型」や「40日型」など)もありますが、表1のデータを見る限りそれでは少し不安を覚えます。 一方で多くの傷病による入院が60日以内に収まっていることを考えると、「120日型」やそれ以上の保障日数のプランに加入するのも無駄に見えるかもしれません。
長期化しやすい入院とは
ところが、平均日数60日以上の傷病の入院日数は、120日を軽く超えるほど長期化するものもあります。
さらに注目すべきは、60日以上の傷病で入院された患者数が非常に多いということです。 同じく厚生労働省「患者調査」には、傷病別の入院患者数の推計が掲載されていますので確認してみましょう。
平均入院日数が長い傷病の内、例えば三大疾病(iv)の内の一つである脳血管疾患の入院患者数は約17万人です。 これは入院患者総数134万人の内の12.8%を占めます。 さらに表に抜粋した中だけでも平均入院日数上位3つの傷病をあわせると42.5%に達し、入院患者3人に1人以上は長期入院になりやすい傷病で入院をされているという現実が見えてきます。 加えて高齢になるほど全体の入院日数が増えていき、表1の平均入院日数を上回ることもあり得る、ということも覚えておきましょう。
これらの現実を考慮すれば、必ずしも保障日数の長いプランは必要ないとは言えなくなります。
保障のどこを重視するかを明確に
「一入院の保障日数」は医療保険の保障の中の一つに過ぎず、人によってはあまり重視されないところかもしれません。
もし「最低限の日数が保障されれば良い」とお考えであれば、保障日数の少ない保険を選ぶべきです。 たとえ月々の保険料の差額が数百円しか違わなくても、最終的に節約できる金額は大きなものとなるでしょう。
逆に、「長期入院が心配だから」と感じたなら、保険料を上乗せしてでも保障日数の多い保険を選びましょう。 保険とはこうした心配を補うためのものですから、そこに保険料を掛ける価値が生まれます。 最近では、特定の傷病の場合のみ保障日数やもらえる金額を増やすなど、保障のバリエーションや組み合わせが豊富になったことで、よりフィットした保険を選びやすくなりました。
保険についてどのようにお考えになるかは、その人次第です。 ご自身のお考えにあった保険を自分で納得して選ぶことができれば、その保険は必ずあなたの味方になってくれるはずです。
i 日型プランを一つしか販売していない保険会社もあります。
ii 基本保障のみ、終身払で30歳~60歳までの保険料で比較。保険会社は独自で抽出。
iii 平成23年(2011)患者調査の概況(厚生労働省リンク)
iv 一般にがん、心疾患、脳血管疾患を指します。
NPO法人 生命保険相談センター 当センターでは保険会社・保険代理店・保険ショップなどで受けた保険の提案に関するご相談も承っております。提案内容に疑問や不安のある方は、お気軽にご相談ください。
理事長
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